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公民館ステップアップセミナー  ”ふれあい四国路”2008in新居浜  
第49回新居浜市公民館研究大会泉川まちづくり協議会発会式

   


”ふれあい四国路”2008in新居浜

開催日時:6月17日(水)10:00~ 
場所:四国中央市土居文化会館

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公民館ステップアップセミナープレゼンテーション資料(PDF 3.47 MB)
自分たちのまちは自分達の力で 

当日発表内容

公民館活動ステップアップセミナー発表原稿

(スライド1)
皆さんこんにちは、新居浜市泉川連合自治会の篠原です。私は公民館運営審議委員会の副委員長の任にあります。本日の発表は、地域の住民の立場で公民館活動に関わらせていただいている地域住民の立場で話させていただきます。
 アメリカではオバマ大統領が選挙期間中“イエス・ウイ・キャン”という言葉を何度も使いました。「自分達にはできるんだ」という自信を持つことは大事だと思います。そして“チェンジ”とも言いました。社会が変化する中、それに適応できなければ死滅してしまいます。GMのような大きな会社さえ、倒産し変化を余儀なく迫られている今の世の中、公民館も変革が必要であると思うのです。私たちの泉川公民館は昨年4月に、地域主導型公民館へ移行しました。まだまだ、変化の入り口に立ったばかりですが、確かな手ごたえを感じています。その変化の生の姿を伝えていければと思っています。お付き合いください。

(スライド2)
初めに、泉川校区の概況を説明します。泉川校区は、新居浜市の中央部、JRと国道11号線が通る、商業住宅地です。人口は段々と減少し、21年3月末現在で11,765人、世帯数は逆に増えて5,352戸となっています。最近、国道11号バイパスが校区内を貫通しましたし、校区内に大きなスーパーを4つも抱える土地柄で、そのせいか補導される生徒数はかなり多い状況にあります。何とか地域住民が頑張らねばという思いで、地域が頑張る「地域主導型公民館」へ転換しました。

(スライド3)
泉川校区のまちづくり活動のモットーは次の5点です。まず、「自分達にできることは、自分達でやろう。」ということです。我々も知らず知らずに公民館に依存したりしていました。印刷しといて、ワープロ打っといて、案内状おくっといて、「しといて」ばっかりでした。自分にやれることまで何で公民館に頼むのか、まずはそこから変えていきたいと思っています。二点目は子ども達との関わりです。やっぱり子どもは地域の財産です。財産ゆえに甘えさせるだけではいけない。子どもにやれることはやらせます。早く一人前になれるよう鍛えます。三点目は「結いの心」を大切にすることです。泉川も農業の盛んなところです。昔は農繁期には隣近所で力をあわせて助け合いました。今はこれが薄れてきています。これを復権したいと思っています。四点は「生涯にわたって学ぶ」姿勢を持つことです。学ぶとはいえ、学校と同じように学ぶつもりはありません。社会の変化に乗り遅れ、後の祭りにならないよう、損をしないようにする学習の機会を提供したいと思います。そして五点目は、「地域の値打ちを上げよう」ということです。自分達のまちを愛する住民を増やしたいと思います。泉川のことは泉川の住民じゃないと本気で考えてくれるはずありません。その思いで、みんなが力を合わせています。

(スライド4)
具体的な公民館の事業展開をみてみましょう。一番大きな特色は、「地域をよくしていくために取組む活動はすべて、公民館活動である」という点です。公民館という建物で行われるのが公民館活動と捉えていましたが、その壁を取り払い、一般的には何でこれが公民館活動というものも公民館活動と言っています。活動の特色としては 1.毎年新しい活動にチャレンジすること。そのことによって常に新しい人材が増えてきます。 2.財政面での独立、従来は市の委託料や補助金がすべてでしたが、財政状況の厳しき折、補助金が打ち切られた際に自治会が中心になって寄付金制度を立ち上げました。今4年目になりますが、毎年百万円ほどの財源が生まれ、各種事業に配分されています。 3.できるだけみんなが意見を言える体質をつくるためにワークショップを活用しています。 4.損得勘定、メリットデメリットと騒がず、何が必要か、直江兼続ではありませんが「義」を大切に、「志」をもって活動します。 5.そして子ども達ができるだけ大人と混じり合う環境をつくり、一緒になって働くなかで地域を愛する大人に育つ手助けをしたいと思っています。

(スライド5)
これまで行ってきた泉川校区の活動を何点かお知らせします。
まず花いっぱい運動です。考えてみると、今から15年前に小学校PTAが始めた取組みが、現在の基礎になっています。
タネから育てること。お金がないのもありますが、苗を買うのではなく、育てることに意味があると思っています。

そして、その苗を自分の家に持ち帰って育て花ステーションに植える。その結果、10年目頃から自治会も活動に加わり、現在は校区内に45か所の花のステーションができ、年2回、各一万本の花が植わるようになりました。

(スライド6)


これは、その一部です。

国領川の河川敷公園、国道パイパスの側道、公民館前のポケットパーク、自治会のゴミステーション、JR新居浜駅の駐車場などが花いっぱいに生まれ変わりました。

(スライド7)

次は、国道11号バイパスの里親制度、あいロードです。きっかけは本当に偶然でした。卒啄同時という言葉がありますが、まさに道路という卵を、私達地域住民と国土交通省が突きあい、あいロードという新たな活動が生まれました。自治会長が、「草いっぱいで危ない」といったのが契機になって、150人の自治会員で除草作業し、それを通じて国道事務所長と付き合いが始まりました。その後、国土交通省の予算もいただき、道路延長にあわせて整備計画を6回のワークショップで喧々諤々の議論を行いました。その際には、どんな花や木を植えるのか、中央分離帯をいかに活用するか。など普通では地域の入り込む余地のないことまで、中学生も交えて熱く語ったものです。そして、単に議論だけではなく、自分達の言った通りのバイパスが出来上がったのを見て、住民の思いはものすごく盛り上がったものです。その結果、中央分離帯には一本2,000円で100本の記念植樹が行われ、20年先には道路の真ん中に森ができる事になりましたし、開通イベントは、住民1,000人以上が集り、もちつきや保育園の子ども太鼓台や鼓笛隊のパレードなど住民手作りで盛り上がりました。

(スライド8)

これは、今の説明の流れです。右下の④が中央分離帯の森です。

まだまだ小さいですが、毎年4月29日には、植樹をした人が集って木の大きさを確認しています。

木が大きくなれば、二酸化炭素の削減にも一役買ってくれるはずです。

(スライド9)

これは、開通イベントのスナップです。子ども達もモチをついたり、花を植えたり、がんばってくれました。国道の開通式としては、地域住民がこんな形で関わるのはまさに異例のことと国の方もびっくりしておられました。

(スライド10)
この活動を通じて地域住民の一体感が違うステージに登ることができたと実感しました。
単に草を刈ること、木を植えることに止まらず、地域のために何かやらなければという思いが強くなってきたのです。
左上の写真の方はもう喜寿を迎えています。元気に夏の盛りもバイパスの草を抜いています。泉川中学校の生徒達も、ワークショップで言ったことを実践し、ボランティア活動に取組んでいますし、新居浜商業高校生徒も、校長以下、年2回一緒に汗を流してくれています。このほかにも、荒れ放題になっていたJR新居浜駅駐車場を地元の自治会が大改造し、花の公園に変えてくれましたし、ある冠婚葬祭業者は、毎朝400メートルほどの道路のゴミ拾いを続けてくれています。みんなのおかげで校区全体が見違えるようにきれいに生まれ変わっています。

(スライド11)

もう一つは、放課後子ども教室です。私達は「大好き泉川っ子教室」と名付けています。

既に5年目を迎えました。愛護班のメンバーが核になって毎週土曜日の午前中を中心に、地域の様々な人材の力を借りながら、このような様々な体験活動を続けてきました。

(スライド12)

昨年度の夏には、室戸の青少年自然の家に総勢41名で行ってきました。

シュノーケリング、イルカと戯れ、室戸沖のクルージング、そしてカツオのたたきと普段は味わうことのできない大自然を堪能することができました。
子どもの記憶の中に強く残っているようです。青少年自然の家は専門職員がおりますので、我々だけではできない体験ができます。

利用しない手はありません。
今年は秋の閑散期に訪問する予定です。

(スライド13)

さっきの国道バイパスでもそうでしたが、私達の校区では子どもの姿を色々な場面で見ることができるようになりました。

文化祭のバザーでは売り子として活躍しますし、公民館玄関前の花壇は子ども達の担当です。
農園で育てたジャガイモやサツマイモを、自分達の判断で隣の老人ホームにプレゼントした時には、我々本当にびっくりしましたし、子ども達と関わってきて本当によかったと感動したものです。

(スライド14)

他にも、郷土愛を育むために、郷土の歴史や文化に触れる機会を作っています。別子銅山を新居浜南高校 情報科学部のガイドで訪ねたり、新居浜検定を受験したり、残念ながら全員、大人と同じ問題なので不合格になりましたが、今年度も頑張るそうです。

また、太鼓台にも触れる機会を作っています。

(スライド15)

この教室をやりながらいつも思うことがあります。それは「子ども達のことを、遠巻きにやさしく包み込める地域でありたいということです。
思春期になった時に壁にぶち当たることもあるでしょう。非行に走ろうと思うかもしれない。
そんな時に、昔から知っている地域のおじちゃん、おばちゃんがいれば相談もできます。
そして、悪さをする子どもを見かけたら怖がらずに声がかけられます。

そんな温かな関係性を持った地域を築きたいと思っています。

(スライド16)

ここから先は、いま新たに始めたばかりの事業を紹介します。
 一つ目は、文部科学省の委託事業である「学校支援地域本部」です。新居浜市では9つの本部があると聞いています。
私もコーディネーターの一人ですが、学校のニーズを吸い上げ、地域にできることを見極め、地域の人材を生かして解決することができれば、先生の負担軽減もできますし、地域の力がアップすると信じて動いています。

(スライド17)
活動はこれまでもあったものを継続しています。

見守り活動は4年前から進めていますが、子どもの安全安心を確保するために暑い日も、寒い日も頑張っている姿には頭が下がります。

また、ウサギ小屋が傷んでいました。
それを地域の力でよみがえらせることができました。昔鉄工所で働いていた人が溶接機を持ってきて修繕してくれましたし、スレートは業者の人がボランティアで取り付けてくれました。

このような活動の成功体験をもとに本格的な取組みを始めました。

(スライド18)
その一番目の取組みが、去年の12月末に行った、泉川中学校の玄関前大掃除、そして今年の3月に行った泉川小学校の大掃除です。

中学校は初めての取り組みだったので、五里霧中の中のスタートでした。
しかし、この時ほど地域の力の偉大さを感じたことはありませんでした。高所作業車、パッカー車、チェーンソーといったものが知らぬ間に集まってくるのです。卒業生が、「何か学校に恩返しをせないかん」という思いで、会社の車や機械を総動員してくれました。当日正門が汚れているということでペンキを買ってきて塗り替えてもくれました。その様子を小学校も見ていたので、ぜひ小学校もお願いしたいとの依頼によって、小学校にも取組んだわけです。この時は二度目ですから要領を得たものでした。前日の打ち合わせで、会の席上携帯電話で足りないものを全部解決していきました。両方とも100名程度の有志が集まり、学校は別物に生まれ変わりました。

(スライド19)

色々な活動を進めるには、やはり活動拠点があった方が便利です。

今の校長は前任地での経験を生かし、早速余裕教室を活用した“ワクワクサロン”に取組んでくれました。
現在、設置に向けての準備が着々と進んでいます。

6畳の畳コーナー、ソファー、冷蔵庫などがみんなの志で整ってきました。
できれば夏休み前には、開所したいと思っています。これができれば、本部、見守り隊、PTA、そして大好き泉川っ子教室の児童など、みんなの集まる場所にしたいと思っています。

(スライド20)

次に、今進めている公民館活動の仕組み作りについて説明します。
 今までの公民館活動は、市の予算に依存する形態で進んできました。予算が付いていれば公民館活動、そうじゃなければ団体の活動と割り切っていためんがあります。
それじゃ地域づくりはできません。私は公民館は事業を囲い込むのではなく、地域の中に入り込んでいってもらいたいと思うのです。
地域で各種団体が縦割りでやっている活動、福祉、環境、防災、花いっぱいなども公民館が真ん中に入れば、ネットワークができると思います。同じような活動をしている団体は力を合わせてやっていく方がいいと思うのですがいかがでしょうか。

(スライド21)

その流れで現在取組んでいるのがまちづくり協議会です。
 8つの部会を設置しようと考え、現在順次設置が進んでいます。
総務広報部会では情報提供、環境美化ではえひめAI2を使った環境浄化、花いっぱい運動に取組み、社会福祉部会では、民生委員と自治会が商業高校の生徒も交え、災害弱者への支援体制の整備、子どもの育ちを支える部会では、子ども会やスポーツ少年団の現状調査を行い、子どもへの体験活動の拡充、を目指しています。

まだ未設置の部会もありますが、今年度中に設置し、各部会の代表からなる組織や総会も設置できるよう組織化を図ることを目指しています。

(スライド22)
生涯学習部会が所管している新規事業が、“泉川ふるさと塾”です。
 これは、従来の社会教育関係団体を対象とした学級講座とは異なる、すべての校区住民、あるいは他校区の住民も参加できる総合講座です。
企画立案、運営評価まで生涯学習部会の10名のメンバーが引き受けてくれています。毎月10日に例会を開き、1月に1~2回のペースで講演会を開催します。
講演会の内容は、できるだけ“役に立つ”という観点で選ぶことにしました。そして、8つの部会に関連する内容については、それぞれの部会に担当してもらい、それを補佐するスタイルで運営することにしています。
 できるだけ郷土出身者や市役所の出前講座を生かしてプログラムを考えています。今月9日には、校区出身で現在四国経済産業局長の徳増 有治さんを招き、開講記念講演を行いました。地域住民手作りの塾になればいいなと願っています。

(スライド23)
終わりになりますが、私はこれからの公民館活動の基本は、そこに暮らす人たちが主体的に取組み、地域の誇りを高めていくことにあると思っています。地域を好きになることが大前提で、その間に手を加えていくことで「素敵」にしていくのが公民館だと思っています。
公民館の職員の皆さんが地域の中に入っていただき、住民と共にまちを変えていっていただきたいと願っております。
地域主導型公民館になって何のメリットがあるのかとよく聞かれますが、メリットは人から与えてもらうものでは決してないと思っています。自分達の手で作り出してはじめて実感できるのではないでしょうか。たとえ小さなものでも、自らが汗と涙で生み出したものには愛着がわくはずです。

(スライド24)
最後に私の好きな言葉を一つ申し上げます。

 中国の古典の言葉ですが「益はなくとも、意味はある」というものです。 損得勘定ではなく、メリットやデメリットを先に探るのではなく、義に照らして正しいことかどうか、「志」を持って見極めていきたいと思います。
そうすれば、きっと子ども達に対しても恥ずかしくない町になるのではないでしょうか。
でも何よりも大事なのは、みんなが楽しく笑顔でやっていけること。
幸せはいくつになってもだれかに必要とされ、誰かのために何かがしてあげられることにあるのではないでしょうか。
これからも公民館が発展するよう力を合わせて頑張っていきたいと思います。
                                        ご清聴ありがとうございました。

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